イエスカルタによる治療後では、白血球などの免疫細胞とともに赤血球や血小板が減ってしまい、長期にわたってその状態が持続することがあります。
その結果、以下の副作用(感染症、貧血、出血)が起きやすくなります。

感染症

白血球やガンマグロブリンが減少することにより、病原体(びょうげんたい)(細菌、ウイルス、真菌(しんきん)など)から体を守る免疫力が低下し、さまざまな感染症にかかりやすくなります。

Q&A

Q1ガンマグロブリンとは、なんですか?
A1

病原体などの異物を排除するはたらきのある物質で、白血球のひとつであるB細胞から作られます。

Q2感染症ではどのような症状がみられますか?
A2

主な症状は発熱、せき、鼻水、嘔吐、下痢・腹痛、倦怠感(けんたいかん)などです。

〈日常生活の注意〉
手洗い、うがい、マスク装着、人ごみを避けるなど感染対策をしっかりおこないましょう。

貧血

赤血球は体中に酸素を運んでいます。そのため、赤血球が減少することにより、貧血があらわれることがあります。

Q&A

Q貧血ではどのような症状がみられますか?
A

主な症状は立ちくらみ、息切れ、めまい、疲れやすいなどです。

〈日常生活の注意〉
起き上がるときや、立ち上がるときは、ゆっくり動きはじめるようにしましょう。

出血

血小板には出血を止める役割があります。血小板が減少することにより、血が止まりにくくなります。

Q&A

Q血小板減少ではどのような症状がみられますか?
A

青あざができやすくなったり、歯ぐきの出血や、鼻血などがみられることがあります。

〈日常生活の注意〉
転んだり、ケガをしたりしないように注意しましょう。

腫瘍崩壊症候群(しゅようほうかいしょうこうぐん)

イエスカルタによる治療後に、腫瘍崩壊症候群があらわれることがあります。
腫瘍崩壊症候群は、がん(腫瘍)細胞が短期間で大量に死滅(崩壊)したときに起きます。血中の尿酸値(にょうさんち)が上昇するとともに、リン、カリウム濃度の上昇やカルシウム濃度の減少などの電解質異常(でんかいしついじょう)が起こり、血液が酸性になる、腎臓からの尿の産生が減少するなどの症状がみられます。重篤な場合は腎不全をおこす可能性もあります。
治療後は血液検査を行い、高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)や電解質異常が起きていないかを確認します。

その他の注意すべき副作用などの症状がみられた場合には、すぐに医師、看護師、薬剤師に連絡してください。

監修
北海道大学病院 血液内科 教授 豊嶋崇徳先生